遺言とは
遺言とは
遺言とは,財産面では自分自分の財産をどうするのかという遺言者の意思表示です。
遺言には、非嫡出子の認知や相続人の排除といったような身分状の遺言もあります。
誰が誰の相続人となり、またその相続分はどれほどなのか?といったような法定相続は民法で決められています。
法定相続は被相続人(亡くなられた方)の死亡によって当然に開始されます。
しかし、この法定相続制度は、すべての家庭の事情に則して妥当な結果を導けるとは必ずしも限りません。
遺言はこうした法定相続を遺言者の自由意思によって変更するものであり、相続財産に関する権利関係の帰属を遺言者自身の最終の意思表示に委ねるものです。
このように、遺言によって相続財産の分配が行われることが望ましく、法定相続は補充的なものにすぎないともいえるでしょう。
しかし、遺言は遺言書という書面と文書によってしなければならず、その形式は民法で定められています。
その形式に従って作成されていない場合、せっかく遺言を残しても法的に無効なものとなってしまいます。
「私の家はだれだれが相続してくれ」と何度も生前言っていても、遺言書がなければ、原則何の効果もないということです。
遺言をするには、原則として満15歳以上であれば、誰でもすることができます。
遺言は、遺言者の生前の意思をその死後において実現させるものであり、財産に関するものが中心なため、遺言の存在や内容の真実性がなければ争いが生じてしまいます。
このような争いを防ぐため、民法は遺言の要件を厳格に定めています。
遺言の重要性
相続において、遺言は重要な要素です。
誰かが亡くなり相続が始まれば、少しでも多くの遺産を取得しようと相続人同士が争うことは決して少なくありません。
遺言をすることで、相続財産を巡る争いを未然に防ぐことができます。
遺言は相続において最優先
遺産分割の優先順位
- 遺言
- 遺産分割協議
- 法定相続
遺言書がある場合、遺言が優先されます。
遺言がない場合、相続人全員で遺産分割協議を行います。
そして遺産分割協議がまとまらない場合、法定相続分に従って遺産を分けることになります。
法定相続について、くわしくはコチラをご覧ください。
上記のように、遺言は、遺産分割協議や法定相続より優先されるため、相続の仕方を遺言できちんと決めておくことによって、相続人同士の遺産をめぐるトラブルを防ぐことができるのです。
もし遺言がないと…
遺言がない場合、遺産分割協議や法定相続によって相続財産を分割することになりますが、現実には簡単にはまとまりません。
単に預金等の金銭だけなら均等に分配するといったことも可能かもしれませんが、通常は相続財産には不動産など様々な財産が含まれ、均等に全員で財産を分配すること自体が難しく、自主的に遺産分割の協議をまとめるのは容易ではありません。
ではそれなら均等に法定相続すればいいのではと思われるかもしれません。
しかし、法定相続に関する規定は、全体的な家族関係を標準として設けられていますから、これを個別的に家族関係に当てはめると必ずしも相続人間の実質的な公平が図られないという場合も少なくありません。
例えば法定相続では、子は皆等しく平等の相続分を有しているとされてますが、遺言者と一緒に苦労を共にして頑張ってきた相続人と、そうでない相続人とではそれなりの差を設けてあげないとかえって不公平ということにもなります。
ですので、遺言者がその家族関係に最も合致するような相続の仕方を遺言できちんと決めておくことは、後に残された者にとってとても有り難いことなんです。
遺産分割協議がまとまらない場合、家庭裁判所での遺産分割の調停や審判で解決してもらうことになりますが、相続人間の争いで解決が困難になる事例が後を絶ちません。
こういう場合に備えて、遺言によって相続分を具体的に定めておけば、相続人間の争いを未然に防ぐことができるのです。
なお、遺言は自筆証書遺言よりも後々安心な公正証書遺言でしておくのがよいでしょう。
相続登記に関して
相続登記に関しては遺言書(自筆証書遺言は検認要)がある場合、申請人からの単独申請で登記可能です。
遺言がない場合、法定相続登記か遺産分割協議書を添付して相続登記をすることになります。