法定相続
法定相続とは
亡くなられた方の相続人には誰がなるのか、どれだけの割合で相続する権利を有するかは、相続が起きた時非常に気になる点です。
法定相続とは、民法900条で定められた各相続人が受け継ぐことができる遺産の割合をいいます。
昭和55年12月31日以前に相続が開始した場合は、現在と法定相続による遺産の割合が違いますのでご注意ください。
なお、相続財産に遺言があったり、相続人全員の間で遺産分割の協議が整った場合は、遺言や遺産分割協議の合意が優先します。
法定相続人とは
法定相続人とは、血族相続人と配偶者のことです。
配偶者(夫、妻)は血族相続人と共に常に相続人となります。
血族相続人
血族相続人には順位があります。
- 第1順位 子や孫等(直系卑属)
- 第2順位 親や祖父母等(直系尊属)
- 第3順位 兄弟姉妹
被相続人に、第1順位の子がいる場合には子は無条件で相続人になります。
養子に行かれた方がいる場合にも、相続人となります。
養子は実親、養親共に相続人になります。
第2順位の直系尊属は、第1順位の子(および子の代襲相続人)がいないときに相続人になります。
第3順位の兄弟姉妹は、第1順位の子(および子の代襲相続人)および第2順位の直系尊属がいないときに相続人になります。
したがって、被相続人の子と親、親と兄妹、子と兄妹が同一順位で相続人になることはありません。
法定相続の具体例
配偶者と子(第1順位)が相続人の場合
- 配偶者が2分の1、子供は2分の1
- 子が複数いる場合には、2分の1を子供全員で均等に分ける
- 非嫡出子(内縁の妻や愛人の子供)の相続分は、嫡出子の2分の1
また、配偶者がいない場合は、子供が遺産の全部を相続することになります。
子供が死亡している場合は、孫が相続します。
孫も亡くなっている場合は、ひ孫が相続します。
このように、相続権を孫やひ孫が引き継ぐことを代襲相続といいます。
配偶者と被相続人の父母(直系尊属)が相続人の場合
- 配偶者は3分の2、父母は3分の1を相続
※親が亡くなっている場合は、祖父母が相続人となる。
配偶者と被相続人の兄弟姉妹の場合
- 配偶者は、4分の3、兄弟姉妹が残り4分の1を相続
※兄弟が亡くなっている場合は、兄弟姉妹の子が相続人となる。
(注)相続登記に関しては遺産分割協議が原則必要ですが、法定相続分で登記をする場合には遺産分割協議は不要です。
ただし、保存行為として1人の方から全員の法定相続分で相続登記が申請された場合、委任状がない方については登記識別情報は出ませんので注意が必要です。
相続の順位は誰が相続人かを考えると非常に重要です。