相続とは
相続は一生に一度は誰もがかかわるものです。
自分にはまだ関係ないと思っていても、いつ自分が遺産相続に巻き込まれるか分かりませんので、その時に混乱しないためには遺産相続について最低限の知識を持っておくことも必要なのです。
一般で言う相続というのは、亡くなられた人(被相続人)の財産をその子や妻、親や兄弟等の相続人が引き継ぐことです。
相続がおきて、はじめて相続財産をどうするかという問題(単純承認、限定承認、相続放棄)や、どのように分割するか(遺産分割)、また不動産の名義人を誰にするかという相続登記の問題等が起こります。
相続遺産は、不動産や預金、株等のプラスの財産に限りません。
借金等のマイナスの財産も相続の対象となってしまいます。
その場合には相続放棄等も考慮する必要があります。
なお、賃貸の保証人等、身元保証などの一身に専属したものは相続の対象とはなりません。
相続で必要な手続き
相続財産に被相続人名義の不動産(土地・建物)がある場合
その不動産の名義を相続人名義に変更しなければなりません。
具体的には、相続人への所有権移転登記(相続登記)を不動産の所轄法務局に申請することになります。
この場合に報酬を得て登記の代理人になれるのが国家資格である司法書士なんです。
新登記名義人は相続人全員の遺産分割協議で定めることも可能ですし、保存行為として相続人全員の法定持分での登記も可能です。
相続財産に預貯金がある場合
金融機関の窓口で、亡くなった人名義の定期預貯金や普通預貯金を相続人名義に変更するか、解約して払い渡してもらうことになります。
相続財産に株式や投資信託がある場合
証券会社の窓口で亡くなった人名義の株式などを相続人名義に変更してもらうか、その株式などを売却し、その代金を相続人に払い渡してもらうことになります。
被相続人が事業者であった場合
個人事業主であった場合には、相続人がその事業を継続するのかどうか、会社のオーナーであった場合には、その会社について変更手続や解散・清算手続が必要になります。
借金等負債があった場合
相続放棄の手続きをした方がよい場合があります。(相続開始を知った時から3ヶ月以内)
3ヶ月はすぐに経過いたしますので、手続きはお早めになされたほうがいいです。
認定死亡
火事等で、死亡したのは確実であるが、遺体が見つからないという場合があります。
このような場合に、役所が死亡の認定して、戸籍上一応死亡として扱います。
本籍地の市区町村では、死亡報告に基づいて戸籍に死亡の旨記載します。これを認定死亡といいます。
失踪宣告
認定死亡のほか法律上死亡とみなされるケースとして、失踪宣告という制度があります。
これは、失踪して生きているのかどうかわからない不在者を法律上死亡したものとして扱うものです。
たとえば、配偶者が失踪して生きているのかどうかもわからない状態が続いていたとします。
こうした状態では配偶者の財産を相続することはできません。
そこで、家庭裁判所に失踪宣告を申し立てることができます。
失踪宣告はこの申立てにもとづいて失踪宣告を受けた者を死亡したものとみなし相続が開始する制度です。
同時死亡の推測について
相続人が相続するためには、当然のことですが、被相続人が死亡した時点において相続人は生存していなければなりません。
したがって、例えば父と子がまったく同時に死亡したとすれば、互いの間では相続は生じないことになります。
また、二人の死亡の前後を確定するのが不可能な場合があります。
こうした場合、二人は同時に死亡したものと推定されます。
この場合も互いに相続しません。
ただ、同時死亡の推定はあくまで推定にすぎませんから、反対の証拠があればこれを覆すことは可能です。
同時死亡したものとして相続された後に、死亡の先後が明らかになったときは、すでになされた遺産分割協議は無効になってしまいます。